磁石屋だというと、「え!そんな商売があるんですか?」とよく言われます。
磁石屋は磁石をよく知る者として、より磁力を強力に、効率的に組み合わせてより適切な磁石をお客様にご提供するのが主な仕事です。

磁石の常識を、少しだけ疑ってみたら
磁石というと、「強ければ強いほどいいもの」そんなふうに思われがちです。
確かに、ネオジム磁石は世界最強クラスの磁力を持っています。
でも、磁石屋として長く向き合ってきた私は、その“強さ”の裏側にある、たくさんの使いにくさも見てきました。
つるつる滑って、思った位置に止まらない。
接触面を簡単にキズつけてしまう。
落とせば、割れてしまうこともある。

錆び止めとして施されるニッケルメッキは必要なものですが、それが逆に「扱いにくさ」を生んでいる場面も少なくありませんでした。
「磁力はこのままで、もっと安心して使える磁石はできないだろうか」この問いが、すべての始まりでした。
答えは“強さ”ではなく、“摩擦”だった
磁石の性能を上げる、というと多くの人は「もっと強くする」ことを思い浮かべると思います。
試行錯誤を重ねる中で、発想を転換する必要があると感じました。
足すべきなのは“強い力”ではなく、“止まる力”。
そこで目を向けたのが、シリコンという素材です。
やわらかく、しなやかで、滑りにくい。
耐水性や耐候性にも優れ、暮らしの中で安心して使える素材です。
このシリコンで、強力なネオジム磁石を丸ごと包み込む。
そうして生まれたのが シリコンマグネット でした。

磁石が「道具」として生まれ変わった瞬間
シリコンでコーティングすることで、磁力そのものは変えずに、体感は大きく変わりました。
滑りにくく、しっかり止まる。
接触面をキズつけにくい。
水回りでも錆びを気にせず使える。
衝撃もやわらかく受け止めてくれる。
これは単なる改良ではなく、磁石を「安心して使える道具」に変える転換点 だったと思っています。

さらに、この発想は広がっていきました。
磁石が使えない場所にも使える「マグサンド」など、磁石の使い方そのものを広げるアイデアへとつながっていったのです。
シリコンマグネットは優しいマグネット
シリコンマグネットをつくっていて、私自身がいちばん実感したのは、これは「強い磁石」ではなく、「人にやさしい磁石」だということでした。
磁力は世界最強クラスのまま。
それでも、触れたときの感触はやわらかく、くっついたときの動きは穏やかで、外すときも、必要以上に力を使わなくていい。
滑らないから、ズレない。
キズをつけにくいから、置く場所を選ばない。
割れにくく、錆びにくいから、扱う人が神経質にならなくて済む。
磁石を使うたびに感じていた、「ちょっと怖い」「ちょっと不安」
そんな気持ちを減らしてくれるのが、シリコンマグネットだと思っています。
強さを抑えたわけではありません。
磁石の力はそのままに、使う人の立場に立った“やさしさ”をまとわせた
だから私は、シリコンマグネットを「優しいマグネット」だと呼びたいのです。
磁石は、まだまだ面白くなる。
強さだけでなく、やさしさや使いやすさをまとって。
これからも私は、「磁石って、こんなふうにも使えるんだ」
そう思ってもらえるものづくりを、続けていきたいと思っています。

この記事を書いた人

Magever
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